ECコンサルティングの費用や内訳、良いECコンサルを見分ける方法を解説!

著者:佐々木 理人
JT、株式会社I-neを経て、株式会社Venture Oceanを創業。
株式会社I-neで新規立ち上げした「YOLU」は1年で売上70億、ドラッグストアのシリーズ別シェアNo.1になる。
市場調査、コンセプト策定、新規事業立上げが得意。
ECサイトの売上を伸ばしたいと考えたとき、ECコンサルティングの活用を検討する企業は少なくありません。
しかし、実際にコンサルティングを依頼するとなると、「費用はどれくらいかかるのか」「どのような内訳になっているのか」「どうやって信頼できるコンサルタントを選べばいいのか」わからないことも多いでしょう。
この記事では、ECコンサルティングの費用相場から具体的な内訳、そして良いECコンサルを見分けるポイントまで詳しく解説します。
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目次
ECコンサルティングの費用相場
ECコンサルティングの費用は、依頼する内容や契約形態によって大きく異なります。
一般的な費用相場を見ていきましょう。
ECコンサル:月額定額型
継続的なサポートを受ける月額定額型では、企業規模やサポート内容によって費用が変動します。
- 小規模ECサイト: 月額10万円〜30万円程度
- 中規模ECサイト: 月額30万円〜70万円程度
- 大規模ECサイト: 月額70万円〜100万円以上
小規模の場合は月1〜2回のミーティングと基本的な施策提案、
中規模では週次のミーティングや複数チャネルの運用支援、
大規模では専任チームによる包括的なサポート が含まれることが一般的です。
費用の内訳
| 基本コンサルティング費用(全体の50%〜60%) | ・コンサルタントの人件費を含む基本コンサルティング費用。(定期ミーティング月2〜4回、メールやチャットでの日常的な相談対応、月次レポートの作成など) ・担当コンサルタントのレベルによって大きく変動し、シニアコンサルタントが担当する場合は高額に。 |
| 戦略立案・施策提案費用(全体の20%〜30%) | ・課題に対する戦略立案や具体的な施策の提案にかかる費用。(現状分析、競合調査、新規施策の企画、既存施策の改善提案など) ・月によって提案内容の量は変動するが、平準化された料金設定。 |
| 効果測定・分析費用(全体の10%〜15%) | ・実施した施策の効果測定や、サイトのアクセス解析、売上分析などにかかる費用。 (Google Analyticsの分析、ECプラットフォームのデータ分析、A/Bテストの設計と評価など) |
| ツール利用料(全体の5%〜10%) | ・コンサルタントが使用する分析ツールやレポーティングツールの利用料が含まれる場合がある。 (ヒートマップツール、SEO分析ツール、競合分析ツールなど) |
| 実行支援費用(オプションの場合も) | ・広告運用代行、コンテンツ制作支援、SNS運用サポートなどの実務的な支援。 ・月額に含まれる場合は全体の10%〜20%程度。 |
月額定額型が向いている企業
・EC事業を本格的に拡大したい企業
月商500万円以上で、さらなる成長を目指している企業に最適です。
継続的な改善サイクルを回すことで、安定した成長を実現できます。年間売上1億円以上を目指す企業であれば、月額30万円〜50万円程度の投資は十分に回収可能です。
・社内にEC運営のノウハウが不足している企業
日常的に相談できる体制があることで、試行錯誤の時間を大幅に短縮できます。特に、実店舗からEC事業に参入した企業や、BtoBからBtoCへ展開する企業などは、継続的なサポートが成功の鍵となります。
・複数のECチャネルを運営している企業
楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社ECサイトなど、複数のチャネルを運営している企業は、それぞれのプラットフォームに応じた戦略が必要です。月額定額型であれば、全チャネルを統合的に支援してもらえます。
・定期的な施策改善が必要な企業
季節変動が大きい商材や、トレンドの影響を受けやすい商材を扱っている企業には、月次での戦略見直しが重要です。アパレル、食品、ギフト商材などを扱う企業に向いています。
・チーム全体のスキルアップを目指している企業
単に施策を実行するだけでなく、社内メンバーのEC運営スキルを高めたい企業にも最適です。
定期的なミーティングを通じて、ナレッジが蓄積されていきます。
ECコンサル:スポット契約
プロジェクトの内容と規模によって費用が大きく変わります。
- サイト診断・分析: 20万円〜50万円程度
- リニューアル計画立案: 50万円〜150万円程度
- 包括的な戦略立案: 100万円〜200万円以上
- 特定施策の設計: 30万円〜80万円程度
納品物の質や量、かかる工数によって価格は変動します。詳細な競合分析や市場調査が必要な場合は、さらに費用が上乗せされることもあります。
費用の内訳
| 現状調査・分析費用(全体の30%〜40%) | ・スポット契約で最も重要なのが、現状の徹底的な調査と分析。(サイト診断、競合分析、市場調査、顧客データ分析など) ・この部分が充実していることで、的確な提案が可能。調査期間は通常2〜4週間程度。 |
| 戦略・施策立案費用(全体の40%〜50%) | ・調査結果に基づいた戦略立案や具体的な施策の設計にかかる費用。(改善提案書の作成、優先順位の設定、実行計画の策定、ロードマップの作成など) ・通常、50ページ〜100ページ程度の提案資料が納品される。 |
| プレゼンテーション・説明費用(全体の10%〜15%) | ・提案内容のプレゼンテーション、質疑応答、社内への説明支援などにかかる費用。経営層向けプレゼンテーション、実務担当者向けの詳細説明会など。 |
| ドキュメント作成費用(全体の10%〜15%) | ・提案書、分析レポート、実行マニュアルなどのドキュメント作成費用。納品後も自社で活用できるよう、詳細な資料が作成される。 |
| フォローアップ費用(含まれる場合) | ・プロジェクト終了後の一定期間、質問対応やフォローアップが含まれる場合がある。通常、1〜3ヶ月程度のメールサポートなどが設定されている。 |
スポット契約が向いている企業
・特定の課題が明確な企業
「コンバージョン率が業界平均より低い」「広告費用対効果が悪化している」「カート離脱率が高い」など、解決したい課題が明確な企業に最適です。ピンポイントで問題を解決できるため、費用対効果が高くなります。
・ECサイトのリニューアルを検討している企業
現状のサイトの問題点を洗い出し、リニューアルの方向性を明確にすることで、失敗のリスクを減らせます。リニューアル費用が500万円以上かかる場合、事前に50万円〜100万円をかけて戦略を固めることは賢明な投資です。
・年に数回だけ専門家の意見が欲しい企業
基本的には自社で運営できるが、四半期や半期ごとに客観的な視点でのアドバイスが欲しい企業に適しています。
定期的な健康診断のようなイメージで活用できます。
・初めてECコンサルを利用する企業
まずは試してみたいという企業にも向いています。月額契約と比べて初期のハードルが低く、コンサルタントとの相性や提案の質を確認できます。スポット契約で良い結果が得られれば、その後月額契約に移行するという選択肢もあります。
・予算が限定的な企業
年間のコンサルティング予算が100万円程度と限られている企業でも、スポット契約なら活用できます。必要な時期に集中的に支援を受けることで、効率的に課題を解決できます。
・新規事業や新カテゴリー参入時
既存のEC事業に加えて、新しいカテゴリーの商品を追加する際や、新規事業としてECを始める際にも有効です。立ち上げ時の方向性を固めるために活用できます。
ECコンサル:成果報酬型
成果報酬型の場合、売上や利益の一定割合を報酬とするのが一般的です。
- 売上連動型: 売上の3%〜15%程度
- 利益連動型: 粗利の10%〜30%程度
- 初期費用+成果報酬: 初期費用30万円〜100万円+売上増加分の5%〜10%
設定される報酬率は、現在の売上規模や目標達成の難易度、提供されるサービスの範囲によって変わります。契約時には、成果の測定方法や計算期間、最低保証額などを明確にしておくことが重要です。
費用の内訳
| 初期費用 | ・多くの成果報酬型契約では、30万円〜100万円程度の初期費用が設定される。(現状分析、戦略立案、初期設定などが含まれる) ・初期費用ゼロの場合もあるが、その分成果報酬率が高く設定されることが一般的。 |
| 基本月額費用 | ・完全成果報酬ではなく、基本的なコンサルティング業務への対価として、月額10万円〜30万円程度の基本費用が設定されることもある。 |
| 成果報酬部分(売上・利益の一定割合) | ・売上連動型の場合は売上の3%〜15%、利益連動型の場合は粗利の10%〜30%程度が相場。 ・成果の定義は契約によって異なり、前年同月比での増加分のみを対象とする場合や、全売上に対して報酬が発生する場合などがある。 |
| 広告費・ツール費用(別途の場合も) | ・広告運用を伴う場合、広告費は別途負担となることが一般的。また、必要なツールの導入費用も別途請求される場合がある。 ・契約前に、何が報酬に含まれ、何が別途費用となるのかを明確にすることが重要。 |
| 最低報酬額・上限額 | ・成果が出なかった場合の最低報酬額や、逆に大きな成果が出た場合の上限額が設定されることもある。 |
成果報酬型が向いている企業
・初期投資を抑えたい企業
まとまった予算を確保しにくいが、成果が出れば報酬を支払う余裕がある企業に最適です。特にスタートアップや、EC事業を立ち上げたばかりで予算が限られている企業に向いています。
初期費用が少ないため、リスクを抑えてコンサルティングを導入できます。
・すでに一定の売上基盤がある企業
月商300万円以上で、さらなる拡大を目指している企業に適しています。売上基盤がない状態では成果報酬も発生しにくいため、ある程度の実績がある企業の方が、コンサルタント側も積極的に取り組みます。
・短期間で売上拡大を目指したい企業
3ヶ月〜6ヶ月といった短期間で結果を出したい企業に向いています。成果報酬型では、コンサルタント側も早期に成果を出すインセンティブが働くため、スピード感のある施策が期待できます。ただし、短期的な売上重視になりすぎないよう、ブランド価値や顧客満足度とのバランスに注意が必要です。
・コンサルタントと成功を共有したい企業
成果が出れば双方にメリットがあり、強いコミットメントが期待できます。お互いに本気で取り組む関係性を築きやすい契約形態です。
・既存の広告運用などで一定の成果が出ている企業
自社である程度EC運営ができており、さらに専門家の力を借りて加速させたい企業に向いています。基礎的な運営はできているため、コンサルタントの介入によって比較的早く成果が出やすい状態です。
・明確なKPIと測定体制がある企業
成果を正確に測定できる体制が整っている企業に適しています。Google Analyticsの設定が適切にされている、売上データが正確に取れている、など、成果測定の基盤があることが重要です。測定体制が不十分だと、成果の定義で揉める原因になります。
・リスク許容度が低い企業
失敗した場合の損失を最小限に抑えたい企業にも向いています。成果が出なければ高額な費用は発生しないため、リスクを抑えながらチャレンジできます。
*注意が必要な企業
- 商材の利益率が極端に低い企業(報酬を支払うと利益がなくなる)
- 長期的なブランド構築を重視する企業(短期的な売上追求と相性が悪い)
- 売上が不安定で予測が難しい企業(報酬額の変動が大きくなる)
良いECコンサルを見分ける5つのポイント
1. 実績と専門性を確認する
まず確認すべきは、コンサルタントの実績と専門性です。自社と同じ業界や規模のECサイトでの成功事例があるか、具体的な数字で成果を示せるかを確認しましょう。また、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど、自社が利用するプラットフォームに精通しているかも重要なポイントです。
実績を確認する際は、単に「売上が上がった」という抽象的な表現ではなく、「半年で売上が150%増加」「広告費用対効果が2倍に改善」など、具体的な数値で示されているかをチェックしましょう。
2. 提案内容の具体性と実現可能性
初回の提案や打ち合わせで、どれだけ具体的で実現可能な提案をしてくれるかは重要な判断基準です。一般論や理想論ばかりではなく、自社の現状を踏まえた実践的な提案ができるコンサルタントを選びましょう。
また、短期的な施策だけでなく、中長期的な視点での戦略を提示できるかも確認ポイントです。持続的な成長を実現するには、場当たり的な対応ではなく、体系的なアプローチが必要になります。
3. コミュニケーションの質
ECコンサルティングは継続的な関係性が重要です。定期的なミーティングの頻度、レスポンスの速さ、説明のわかりやすさなど、コミュニケーション面での相性も確認しましょう。
専門用語ばかりを使って説明するのではなく、自社のレベルに合わせて丁寧に説明してくれるか、質問に対して真摯に答えてくれるかといった点も、長期的なパートナーシップを築く上で大切な要素です。
4. 費用対効果の透明性
費用の内訳が明確で、どのようなサービスに対してどれだけの費用がかかるのかが透明であることも重要です。また、期待できる成果について現実的な見通しを示してくれるかも確認しましょう。
過度に楽観的な予測や、根拠のない売上目標を掲げるコンサルタントには注意が必要です。リスクやデメリットについても正直に説明してくれる誠実さが求められます。
5. 自社での実行力を高める支援
優れたECコンサルタントは、ただ施策を提案するだけでなく、自社のチームが自走できるようにナレッジ移転やスキルアップ支援も行います。丸投げではなく、自社の成長につながる支援をしてくれるかどうかも重要な判断基準です。
定期的な勉強会の開催や、運用マニュアルの整備、担当者への実践的なアドバイスなど、自社の内製化を支援する姿勢があるかを確認しましょう。
ECコンサルタント:株式会社Venture Ocean
ECサイトの成長には専門的な知見が不可欠な時代となっています。良いECコンサルを見分けるには、実績と専門性、提案内容の具体性、コミュニケーションの質、費用対効果の透明性、自社の実行力を高める支援姿勢などを総合的に判断することが大切です。

そこで、株式会社Venture Oceanはベンチャー・中小企業のマーケティングに特化したコンサル会社です。
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<この記事の編集・運営者>
株式会社 Venture Ocean