認知度調査に必要な費用や認知度調査を成功させるコツを解説!

著者:佐々木 理人
JT、株式会社I-neを経て、株式会社Venture Oceanを創業。
株式会社I-neで新規立ち上げした「YOLU」は1年で売上70億、ドラッグストアのシリーズ別シェアNo.1になる。
過去3桁の市場調査の実施や数多の新規事業立ち上げに従事。
市場調査は調査の実施背景から適切な調査手法や調査設計を組み、消費者のインサイトを発掘するのが得意。
市場調査、コンセプト策定、新規事業立ち上げ、広告戦略策定が得意。
ブランドや商品、サービスの認知度を把握することは、マーケティング戦略を立てる上で非常に重要です。
認知度調査では、単純に「知っている・知らない」を問うだけでなく、想起方法によって助成想起(選択肢を見て思い出す)と純粋想起(何も見ずに思い出す)に分けて測定することが一般的です。この違いを把握することで、ブランドの浸透度をより正確に理解できます。
しかし、いざ認知度調査を実施しようとすると、どれくらいの費用がかかるのか、どのように進めれば正確なデータが得られるのか、わからないことも多いでしょう。
この記事では、認知度調査に必要な費用の相場から、調査を成功させるための具体的なコツまで、詳しく解説します。
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認知度調査の費用相場
認知度調査の費用は、調査手法や規模によって大きく異なります。
Web調査、電話調査、訪問調査、街頭調査、調査会社への委託、セルフ調査ツールの利用。
それぞれの手法ごとに詳しく見ていきましょう。
認知度調査1:Web調査
最も一般的で費用を抑えやすいのがWebアンケート調査です。インターネット上でアンケートに回答してもらう形式で、短期間で多くのサンプルを集められます。
| 良い点 | 注意点 |
| ・費用対効果が高い ・短期間で実施できる ・データ入力の手間がない ・分岐設定が可能 ・匿名性が高く本音を引き出しやすい ・広範囲のサンプルを集めやすい | ・回答の真剣度、信頼性にばらつきがある ・複雑な質問、深掘りした質問がしにくい ・回答者の反応を直接確認できない ・ターゲット層によれば十分な情報が集まらない(高齢者など) |
小規模調査(サンプル数300人程度)
費用:20万円から50万円程度
質問数は10問から20問程度で、基本的な認知度と簡単な属性情報を取得できる。
中規模調査(サンプル数1,000人程度)
費用:50万円から150万円程度
詳細な属性別分析や競合比較が可能になる。
大規模調査(サンプル数3,000人以上)
費用:150万円から300万円以上
全国規模での調査や、複数のターゲット層を詳細に分析する場合に適している。
費用には、調査設計、アンケート作成、パネルへの配信、データ集計、基本的な分析レポートなどが含まれます。追加で詳細な分析や提案を依頼する場合は、別途費用が発生します。
認知度調査2:電話調査
電話で直接質問する電話調査は、Webアンケートよりも高額になります。
| 良い点 | 注意点 |
| ・回答率が比較的高い ・その場で質問の意図を説明できる ・深掘り質問が可能 ・回答者の本人確認ができる ・無作為抽出が可能 | ・費用が高額 ・オペレーターの質により結果に差が生じる ・長時間の調査が難しい ・プライバシーへの懸念 |
サンプル数300人程度
費用:50万円から100万円
サンプル数1,000人程度
費用:150万円から300万円
電話調査は回答率が比較的高く、その場で詳しく質問できるというメリットがありますが、オペレーターの人件費がかかるため、Webアンケートの2倍から3倍程度の費用になります。
認知度調査3:訪問調査・街頭調査
調査員が直接訪問したり、街頭でインタビューする形式です。調査員の人件費、交通費、管理費などが含まれるため費用は高くなりますが、商品サンプルを見せながら質問できる、詳細なインタビューができるといったメリットがあります。新商品のパッケージ評価や、実物を見た上での認知度調査に適しています。
| 良い点 | 注意点 |
| ・実物や試作品を見せながら調査できる ・回答者の表情や反応を直接観察できる ・特定の地域や店舗周辺の調査に最適 ・その場で深掘りした質問ができる ・視覚的・体験的な調査が可能 ・即座にフィードバックが得られる | ・コストが高額になる ・天候や季節に左右される ・サンプルの偏りが大きい(通行人のみ) ・調査員の質によって結果がばらつく ・大規模なサンプル収集が困難 ・調査場所の確保が必要 |
費用:80万~200万円程度
また、調査地域や調査時間、日数によっても大きく変動します。
認知度調査4:調査会社への委託
専門の調査会社に認知度調査を全面的に委託する場合、調査設計から分析、レポート作成まで一貫して依頼できます。費用は調査規模によって大きく異なります。
| 良い点 | 注意点 |
| ・調査設計から分析まで専門家のノウハウを活用できる ・大規模なモニターパネルにアクセスできる ・統計的に信頼性の高いデータが得られる ・競合比較や業界ベンチマークなど高度な分析が可能 ・調査実施の手間やリソースを削減できる ・第三者による客観的な分析結果が得られる | ・費用が高額になりがち ・調査完了までに時間がかかる(通常2週間〜1ヶ月以上) ・調査会社とのコミュニケーションコストが発生する ・小規模な調査には向かない場合がある ・自社にノウハウが蓄積されにくい |
サンプル数300人程度
費用:50万円から100万円程度
サンプル数1,000人程度
費用:100万円から300万円程度
サンプル数3,000人以上
費用:300万円以上
調査会社を利用するメリットは、専門的な知見に基づいた調査設計ができること、信頼性の高いパネルを利用できること、統計的に正確な分析が可能なことなどです。
認知度調査5:セルフ調査ツールの利用
最近では、自社で簡単に認知度調査ができるセルフ調査ツールも増えています。SurveyMonkey、Googleフォーム、Questantなどのツールを利用すれば、サンプル数100人から500人程度の調査を5万円から30万円程度で実施できます。
| 良い点 | 注意点 |
| ・低コストで実施できる ・すぐに調査を開始できる(最短即日) ・調査内容を柔軟に変更できる ・自社でデータを直接管理できる ・小規模な調査やテスト調査に最適 ・調査のノウハウを社内に蓄積できる | ・調査設計の専門知識が必要 ・回答者の母集団が偏る可能性がある ・サンプル数の確保が困難 ・統計的な信頼性の担保が難しい ・高度な分析機能が限られる ・回答の質をコントロールしにくい |
費用:無料~10万円程度
ただし、調査設計やデータ分析は自社で行う必要があるため、ある程度のスキルが必要です。また、一般的な調査パネルを利用する場合、ターゲット層が限定的になる可能性もあります。
認知度調査を成功させるのコツ
認知度調査を実施するだけでなく、そこから有益な示唆を得て、実際のマーケティング活動に活かすことが重要です。認知度調査を成功させるための具体的なコツを7個紹介します。
1. 調査目的を明確にする
認知度調査を始める前に、何のために調査を行うのかを明確にしましょう。「新商品の認知度向上施策の効果を測定したい」「競合と比較して自社の立ち位置を把握したい」「ターゲット層ごとの認知度の違いを知りたい」など、具体的な目的を設定することで、調査設計がブレなくなります。
目的が曖昧なまま調査を始めると、必要なデータが取れなかったり、分析の方向性が定まらなかったりする可能性があります。調査後に「こんなデータも取っておけばよかった」と後悔しないよう、事前に十分な検討が必要です。
2. ターゲット層を正確に定義する
誰の認知度を測定するのかを正確に定義することが重要です。年齢、性別、居住地域、職業、年収、ライフスタイルなど、自社のターゲット顧客像を具体的に設定しましょう。
例えば、高級化粧品ブランドであれば「30代から50代の女性、世帯年収800万円以上、美容への関心が高い層」といった具合です。ターゲット層の定義が曖昧だと、調査結果の解釈が難しくなります。
また、ターゲット層だけでなく、潜在顧客層や非顧客層の認知度も測定することで、市場全体での立ち位置を把握できます。
3. 競合ブランドを適切に選定する
自社ブランドだけでなく、競合ブランドの認知度も同時に調査することで、相対的な位置づけが明確になります。直接競合だけでなく、間接競合や異業種の参考ブランドも含めると、より示唆に富んだ結果が得られます。業界内でのシェアオブボイス(話題のシェア)を理解することで、今後のマーケティング戦略の方向性が明確になります。また、競合との比較では、認知度だけでなく、好感度や購入意向なども併せて調査することで、より深い洞察が得られます。
競合ブランドは5社から10社程度が適切です。多すぎると回答者の負担が大きくなり、回答の質が下がる可能性があります。
4. 質問設計に工夫を凝らす
認知度を測定する質問は、バイアスがかからないように慎重に設計する必要があります。純粋想起を測定する場合は、「化粧品ブランドで思い浮かぶものを、できるだけ多く教えてください」といった自由回答形式にします。また、質問文は簡潔で分かりやすい表現を心がけ、誘導的な言い回しを避けましょう。複数の要素を一つの質問に詰め込まず、一問一答の原則を守ることも重要です。回答者の負担を考慮し、質問数は必要最小限に絞り込みましょう。
助成想起を測定する場合は、ブランド名をランダムに並べて提示し、「知っているものをすべて選んでください」と質問します。ブランド名の順番によって回答が偏らないよう、回答者ごとに提示順をランダム化することが重要です。
また、認知度だけでなく、利用経験、購入意向、ブランドイメージなども併せて聞くことで、認知度と購買行動の関係性を分析できます。
5. 適切なサンプル数を確保する
統計的に信頼できる結果を得るには、適切なサンプル数が必要です。一般的に、全国規模の調査であれば最低でも300サンプル、より正確な分析を行うには1,000サンプル以上が推奨されます。
ターゲット層を細かく分けて分析する場合は、各セグメントごとに100サンプル以上が必要です。例えば、20代、30代、40代の3つの年代別に分析したい場合、合計で300サンプル以上が必要になります。
予算が限られている場合は、サンプル数を減らすよりも、ターゲット層を絞り込む方が賢明です。
6. 定期的に継続調査を実施する
認知度は施策の実施によって変動するため、一度の調査で終わらせず、定期的に測定することが重要です。調査は一度だけでなく、定期的に継続して実施することで、時系列での変化を追跡できます。四半期ごと、半期ごと、年1回など、自社のマーケティングサイクルに合わせた頻度で実施しましょう。例えば、広告キャンペーンの前後で調査を実施すれば、プロモーション効果を定量的に評価できます。
継続調査を行う際は、質問内容や調査手法を統一することが重要です。調査方法が変わると、結果の比較が難しくなります。
7. データを多角的に分析する
収集したデータは、さまざまな角度から分析することで、新たな発見が得られます。全体の認知度だけでなく、年代別、性別、地域別、年収別など、属性ごとの違いを詳しく見ていきましょう。
また、純粋想起と助成想起の差を分析することで、ブランドの浸透度を把握できます。助成想起は高いが純粋想起が低い場合、「聞けばわかるが、思い出してもらえない」ブランドということになります。
認知度と利用経験、購入意向との相関関係を分析することで、認知度向上が実際の売上につながっているかも確認できます。
認知度調査はデータ活用が成否を分ける
認知度調査で得られたデータは、ただ数値を眺めるだけでは意味がありません。調査結果を正しく解釈し、具体的なマーケティング施策に落とし込むことで、初めて投資に見合う成果が得られます。
しかし、多くの企業が直面する課題があります。調査データの解釈方法が分からない、結果をどう施策に反映すればよいか判断できない、社内にマーケティングの専門知識を持つ人材がいないといった問題です。
また、認知度調査は一度実施して終わりではなく、継続的なモニタリングと改善のサイクルを回すことが重要です。調査結果に基づいて施策を実行し、再度認知度を測定して効果を検証する。このPDCAサイクルを確立することで、限られた予算の中で最大限の効果を引き出すことができます。
認知度調査を成功させるために
認知度調査は、ブランド戦略やマーケティング施策の効果を測定する上で欠かせないツールです。セルフ調査ツールなら低コストで手軽に始められ、調査会社への委託なら専門家のサポートを受けながら信頼性の高いデータを取得できます。それぞれの方法にメリットとデメリットがあるため、自社の目的や予算に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
成功のカギは、明確な目的設定、適切なターゲット選定、質問設計の工夫、競合との比較、そして定期的な実施にあります。しかし、これらを自社だけで実現するのは容易ではありません。
つまり認知度調査の企画から実施、データ分析、そして具体的な施策立案まで、一貫してサポートできる専門家の存在が、プロジェクトの成否を分ける場合が多くあります。
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②現場感覚を持った提案
元事業会社マーケターが在籍しているため、調査から実践的なマーケティング施策への展開まで現場感覚を持った提案が可能
③具体的な施策にまで落とし込む
単なる調査結果の提示にとどまらず、新規事業立ち上げの実践経験から、調査結果をどのように事業に活かすか、具体的なマーケティング施策にまで落とし込むこと
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- 調査を行うが、何から始めればよいか分からない
- 調査結果をどう解釈し、どう施策に反映すればよいか判断できない
- 競合と比較した自社の市場ポジションを客観的に把握したい
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また、株式会社Venture Oceanでは、認知度調査や市場調査に留まらず、商品開発コンサルティング、D2C支援、ECサイト構築、広告戦略立案、SNSマーケティングなど、包括的なマーケティング支援を提供しています。
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また、認知度調査については下記のyoutubeで詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
<この記事の編集・運営者>
株式会社 Venture Ocean