はじめに

みなさん、こんにちは、佐々木です。

今日は
「マーケティングとブランディングがなぜ喧嘩するのか」
について解説していきたいと思います。
マーケティング重視派とブランディング重視派で意見がぶつかることって
マーケターなら誰しも経験したことがあると思います。
私自身もブランディングディレクターと大喧嘩した経験が何回かあります(笑)
今回はなぜ2者で喧嘩が起こったり、考えが合わないと感じるのかについて解説していきます。

マーケティングとブランディングの役割

本題に入る前に、そもそもマーケティングとブランディングの役割を整理したいと思います。

よく聞くのが、
「ブランディングなんて意味ないから、やらなくていい」
とか
「ブランディング観点でこの施策はNGだからやりたくない」
ということがあります。
まずもって私が言いたいのは、
「マーケティングとブランディングに優劣はなく、どちらかが100%上位概念ということはない」
ということです。
それぞれに役割があり、ブランドの市場やフェーズによって、
マーケティングとブランディングの優先順位は変わります。

ではそれぞれの役割について解説していきましょう。

マーケティング

マーケティングの役割は
顧客の数を増やすこと
です。

人間は必ず飽きる生き物なので、ブランドは新規の顧客を獲得し続けないと、必ず衰退します。
この衰退を止め、ブランドを買ってくれる顧客を増やすのがマーケティングの役割です。
なので、「マーケティング」の観点では、
ブランドの強みを既存ユーザーに嫌われない程度に変化させながら訴求をしていきます。

少し例を出して説明します。
コメダ珈琲というカフェチェーンがありますが、
彼らの強みを
「ゆったりとした座席で名古屋発祥の甘いコーヒーが飲めること」
だとします。
そしてこのコメダ珈琲のコアな顧客層が65歳以上のシニア
だとします。(Noリサーチなので仮です)

するとマーケティング観点の発想では、
「65歳以上のシニア以外にブランドの強みを届けられないか」
と考えるわけです。
そうすると例えば、
「甘いコーヒーを強みに、甘いサイドメニューのパフェなどを増やして、若年の甘党を取り込もう」
とか
「ゆったりとした座席を強みに休日に家族で来れるカフェを打ち出して、家族層を取り込もう」
と考えるわけです。
いずれも
今の強みを生かしつつ、今とは違う顧客層にアプローチをする
考え方になっています。
これがマーケティング的な発想での施策の考え方です。

ブランディング

ブランディングの役割は
顧客のスキを増やすこと
です。

一度獲得したお客さんにプロダクトをリピートしてもらうためには、
機能的な便益はもちろんですが、感情的な便益(つまりはブランドが好きという感情)を持ってもらわないとリピートされません。

ここの役割を担うのがブランディングです。
なので、ブランディングは
とにかく今いる顧客に自分たちのブランドを好きになってもらうアプローチ
を考えるのが役割です。

これも先ほどのコメダ珈琲の例を出して考えてみましょう。
コメダ珈琲の強みは
「ゆったりとした座席で名古屋発祥の甘いコーヒーが飲めること」
で、コメダ珈琲のコアな顧客層は
65歳以上のシニア
だとしていました。

ここでブランディング的なアプローチを考えると、
65歳以上のシニアが好む施策を考えることになります。
なので例えば
コメダ珈琲を会場にしたシニア交流会を開く、
接客をもっと丁寧にするように従業員を教育する
などが考えられます。

こうすることで、65歳以上のシニアから「スキ」が増え、コメダ珈琲のことがもっと好きになってもらえるのです。

ビジネス観点での使い分け

ではマーケティングとブランディングはビジネス観点ではどう使い分ければ良いのでしょうか?

結論は、
マーケティングは売上拡大、ブランディングは利益拡大
に使うのが良いと考えています。

ここを少し深堀していきましょう。
マーケティングは新規顧客を増やすアプローチだと話しました。
新規顧客を増やせば、既存客の掘り起こしよりも売上は増えます。
なぜなら、既存客の売上増には限界がありますが、新規客には限界がほぼないからです。

考えてみると分かるのですが、
100人が1万円ずつ使ってくれている状態で、売上を3倍にしたいとします。
この場合、
1万円を使ってくれる人を100人から300人にするのと、
1万円を使ってくれている人に3万を使ってもらう
のではどちらが楽でしょうか?
これは間違いなく前者だと思います。
人の可処分所得には限界があり、単価を3倍はかなり厳しいです。

なので話を戻すと、
マーケティングは新規客を増やして売上を増やすことができます。
こう見ると万能に見えるのですが、デメリットもあります。
デメリットとしては、集客コストがかかるので、利益が出辛いです。
なので、新規事業の立ち上げなど、とにかく売上を伸ばしたいフェーズの時には、マーケティング視点(新規客を増やす)の観点で施策を考えましょう。

一方、ブランディングは
今いるお客さんに自分たちを好きになってもらうアプローチだと話しました。
今いる顧客へのアプローチはコストがほとんどかかりません。
なので、少ないコストで売上を上げることができる=利益が出やすい構造
と言えるのです。

なので、売上が急伸した後や、事業規模が大きく、利益を残したい際にはブランディングの施策を考えるのが良いです。

マーケターとブランディングディレクターはなぜ喧嘩するのか

さてやっと本題です。
では表題の「なぜマーケティングとブランディングは喧嘩するのか」です。
結論は
両者ともブランドのことを「とても真剣に」考えているがアプローチが違うから
です。

上述したように、
マーケターは現状の強みを維持しながらも、ベクトルを少しズラすことで顧客の数を増やそうとします。
このアプローチがブランドディレクターからすると、「既存のロイヤルユーザーを蔑ろにしている、ブランドの価値を下げる行為だ」
と捉えてしまわれがちです。

一方ブランディングディレクターは、既存顧客にどんどんブランドを好きになってもらおうと考えます。
このアプローチがマーケターからすると「新規顧客増えないから売上増えない、施策の費用対は?」
となるわけです。

そして一番の問題点(?)は両者ともブランドのことを「真剣に」考えている点です。
両者ともブランドを良くしたいという想いが強いが故に、こういった衝突が起こるのです。

ではどうするべきなのか。
過去こういった問題に私が当たった時は下記のステップで解決していました。

①想いは同じと伝える
まずはお互いがファイティングポーズでは決してうまくいきません。
なので、ブランドを良くしたい想いはお互い同じだという共通認識を持ってください。

②施策の目的を整理する
そして議論になっている施策の目的を整理しましょう。
今回は顧客の数を増やしたいのか、顧客にブランドを好きになってもらいたいのか。
「両方」はなしです
必ずどちらかに決めて、
マーケティングとブランディングのどちらが今回はオーナーシップを発揮するのか決めてください。

③一緒に振り返る
そしてオーナーを取る側が決まれば、もう一方は全力でサポートしましょう。
そして、施策を実施まで導き、その効果を一緒に効果検証しましょう。
そうすることで、今回の施策の目的に対してのアプローチが正しかったか間違っていたかが明確になります。
また、同じプロジェクトをやり切った仲なので、素直に振り返りができると思います。
ここでやっとお互いに手を取り合えます。(笑)

④次は今回サポートだった側がメインに
そして次回はサポートだった側がメインになることで、
お互いのブランドを良くしたいという想いは満たされるはずです。
これでさらにマーケターとブランドディレクターは深く手を取り合えるはずです。

参考:実践でのマーケティング・ブランディングの使い分け

マーケティングとブランディングには優劣はないと話しました。
ただ、業界によって、このバランスは少し変わったりもします。
簡単に言うと、
顧客ロイヤリティが低い業界(=単価が低い業界)はマーケティング
顧客ロイヤリティが高い業界(=単価が高い業界)はブランディング
を重視すべきです。

顧客ロイヤリティが高い方から考えると分かりやすいです。
例えばあなたがルイ・ヴィトンの担当者だとして、マーケティングで新規顧客を増やそうとすると、結構難しいです。
なぜなら、そもそもヴィトンの顧客になり得る層が市場にかなり少ないからです。
これは推測ですが、ヴィトンなどのブランド品は1顧客あたりの購入個数が普通のバッグ類などと比べて圧倒的に多いはずです。
なので、いかに既存のお客様に数多く勝って頂くか、という方に舵を切ることになるはずです。

反対に顧客ロイヤリティが低い業界を考えてみましょう。
例えばお菓子業界だと、人が1日にお菓子を食べる回数は(市場全体を均せば)せいぜい1回ほどでしょう。
なので、どれだけポテトチップスが好きな人でも1日3個を毎日食べるとかはあまり考え辛いと思います。
なので、こういった業界ではとにかくマーケティングで顧客数を増やす必要性があります。

まとめ

今回はマーケティングとブランディングがなぜ喧嘩するのかというテーマでお話をしました。

要点をまとめると、
■マーケティングとブランディングに優劣はなく、どちらかが100%上位概念ということはない
■マーケティングは新規顧客獲得、売上UPが得意
■ブランディングは既存顧客のロイヤリティUP、利益改善が得意
■マーケターもブランドディレクターもブランドを良くしたいという想いは強い
■上記のブランドを良くしたい想いは両者同じという前提に立つと、うまくいく
■業界特性によってマーケティング、ブランディングの比重は変わる
という感じでしょうか。

今回のお題は自分自身もマーケターとして苦しんだ領域だったので、熱量高く、書かせて頂きました。

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