こんにちは、佐々木です。
今回は最近上場予定を発表した、タイミーのマーケティング戦略について考えてみたいと思います。
タイミーは最近のスタートアップの上場ではかなり大きな上場になる
と、各社が報道しており、かなり注目のスタートアップ企業です。
そんなタイミーのマーケ戦略を考えてみたので、ぜひ最後までご覧ください。
ただ、タイミーは現状未上場なので、公開されている情報が少なく、オープンデータや推計値が多分に含まれます。
なので、数字の正確さには少し欠けるところがあるかもですが、マーケティングの考え方の観点でぜひご覧いただけると幸いです。
タイミーとは
タイミーの説明は日系電子版の説明が分かりやすかったので、その無料部分を引用させて頂きます。
という形で、いわゆるスポットワークの先駆者の企業がタイミーです。
タイミーの決算
続いてタイミーの決算数字を見ていきましょう。
これはタイミー社が出していた出されていた、2024年10月期の決算情報です。
https://drive.google.com/file/d/1ob8znIsKb9VSxlzN_Bv6SkAeoSYFQ41N/view
この決算数字によると、
23年10月期は売上161億、営業利益19.5億、営業利益率12.1%に対して、
24年10月期見込では売上275億、営業利益40.9億、営業利益率14.8%となっています。
売上で前期比170%成長、利益率を上げながら利益で2倍以上の成長をしているのは素晴らしいですね。
ではそんな絶好調企業タイミーのこれからのマーケティング戦略を考えていきたいと思います。
タイミーのマーケティング戦略 基本
まずタイミーにはワーカーを雇う側法人向けのいわゆるTo Bの領域と、
ワーカーを集める、To Cの領域があります。
本来は両方のマーケ戦略を考えないといけないですが、時間の都合と、私がTo Cの方が得意なので、今回はTo C(つまりワーカーを集める方)について考えたいと思います。
中長期の視点で成長戦略を描く際には、まずは市場全体のポテンシャルを知るのが大切です。
なので、まずはタイミーが属する、国内のアルバイト市場の市場規模を見てみたいと思います。
まずは国内のパート人口ですが、総務省のデータでこんなデータがありました。
これを見ると、日本ではいわゆるパートタイムの労働者が1430万人いることとなります。
一方でタイミーはのワーカー数は公式HPにあるように、700万人です。
https://timee.co.jp/
つまり、タイミーは既に市場の約半分のワーカーを獲得できているということです。
さらに、タイミー公式HPの下記の年代別の情報と、
https://timee.co.jp/
先程の年代別のパートタイマーの人数を合わせて見ると、このようになります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001orbi-att/2r9852000001orfa.pdf
と
https://timee.co.jp/
から弊社独自作成
厚生労働省のデータは○5歳刻み、タイミーは○0歳で区切られているので、正確には合わず、20代のカバー率が100を超えてしまっていますが、概ね年代別で見るとこのような形です。
人数の面では、30代以降に成長余地がありそうなのが、このデータから分かります。
ここにさらに、マイナビさんのデータを掛け合わせて、バイトの平均月収を出します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001orbi-att/2r9852000001orfa.pdfとhttps://timee.co.jp/と
から弊社独自作成
するとこのように、市場ポテンシャルに対して、タイミーの成長余地が出ました。
※タイミー想定月収はタイミーの売上ではなく、タイミー経由で発生しているアルバイト代の想定です。
ここから考えると、40代と50代が成長余地が大きく残っていそうで、逆に10代・20代は成長余地が乏しそうです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001orbi-att/2r9852000001orfa.pdfとhttps://timee.co.jp/とhttps://career-research.mynavi.jp/reserch/20230901_57597/から弊社独自作成
ここからさらに、タイミー利用者は単一バイトよりもバイト掛け持ち率が高い可能性が高いので、そこを加味して、アルバイト掛け持ち率を出します。
すると40代と50代では差がないので、成長余地の大きい、50代の方が狙い目です。
さらに初めに出した人口カバー率でも50代が26%で圧倒的に低く、プロモーションの観点でも、効率よくプロモーションを行えることになります。
ちなみにこのように市場のオープンデータを使って市場調査を行う方法の具体に関してはこちらで解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
タイミーのマーケティング戦略 検討すべき点
ただ、本当に50代を狙うべきなのかは、いくつか検証すべき点があります。
これはデータを持っていないとできなかったり、きちんとした調査がいるので、一旦論点の提起だけになりますが、書き出してみます。
①過去のプロモーションで50代が反応していないのはなぜか
https://www.youtube.com/@user-mt6dw5gw1t/videos
タイミーはYouTubeチャンネルを見る限り、かなり昔からテレビCMをしています。
テレビCMというのは一般的に高年齢と相性がいい媒体なので、これだけテレビCMを打っていながら50代のユーザーが増えていないのは理由を深掘る必要がありそうです。
1つ考えられるのは、そもそもTO C 向けのクリエイティブではないというところが上げられます。
歴代のCMを見ると、基本的にワーカーを集めるというよりは、アルバイトを提供する事業者を集めているCMばかりなので、クリエイティブの問題はあるかもしれません。
もう一つ考えられるのは、この年代の層の特性です。
基本的に年齢が高い人ほど、新サービスへの動きは伸長になる傾向があります。
なので、そもそも「スキマバイト」というコンセプト自体の受容性を図る必要はあると思います。
ちなみにコンセプトの作り方はこちらで解説していますし、
コンセプトテストに関してはこちらで解説しておりますので、よければご覧ください。
②今後の競合の動き
また、日経の記事には下記のようなスポットワークの競合他社の動きも記載がありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC211XD0R20C24A6000000/
ラインやメルカリ、タウンワークなどの競合がこのスポットワークの市場に参入し始めています。
これらのプレイヤーは既存のビジネスで得た顧客網へのアプローチをしてくると考えられるので、もしも50代を狙うのであれば、競合のサービスが得意な年齢層でないかは検討する必要があります。
もし得意な年齢層なのであれば、競合が認知拡大に踏み切る前に大規模に投資をして、その年齢層での第一の認知を取ってしまうか、この年齢層をあきらめるかの2択かと思います。
③手数料率の引き上げ
今回あまり触れなかったですが、バイト代に掛ける手数料を上げるという手もあります。
ただ、現状ではまだまだ新規獲得合戦でありかつ、今後も競合がどんどん参入してくる状況なので、今の段階での手数料の値上げはすべきではないです。
もっと規模を拡大して圧倒的な1位になってから、手数料を上げていくのが良いと思われます。
タイミーのマーケティング戦略 中長期視点
現状はアルバイトの領域に特化していますが、ある程度全年代を取り切ったら、成長は止まってしまいます。
そうならないうちに次の事業の芽を考えておくのは大切です。
例えばですが、事務職の派遣などの領域に領域を広げていくのは良いと思われます。
アルバイトの領域はフィーの単価が低く、ユーザーの数を集めないと成り立ちません。
一方で、事務職の派遣などでは、アルバイトよりも単価は高いでしょうし、社員の採用程の人材のこだわりがない可能性は高めです。
また、人材側と企業側の相互で評価をし合う仕組みがある人材紹介サービスは現状ない(と思われる)ので、参入のチャンスはあるかもです。
なのでサービスの形態は考える必要はありますが、こういったビジネスに参入するのも良いと思います。
まとめ
今回は最近上場予定を発表した、タイミーのマーケティングについて解説しました。
今回はクライアントさんではないので、オープンデータのみで分析をしましたが、実際にご相談頂いた場合には、その事業のデータを使って、より精度の高い分析ができるかと思います。
なので、
自分たちの事業がどこまで伸びるかのポテンシャルを知りたかったり、
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