こんにちは、佐々木です。
今回はリブランディングについて解説していきたいと思います。
何年も存続する強いブランドを作るのは、マーケティングの観点から考えても非常に重要です。
そういった「強いブランド」はリブランディングを繰り返しながら、少しずつ顧客数やロイヤル顧客を増やして、「強いブランド」になっていっています。
一方「リブランディング」はブランドの売上が落ちてしまうリスクも孕んでいます。
なので、正しいリブランディングの進め方を知っていないと、リブランディングは失敗してしまいます。
なので今回は、
3桁億のブランドのリブランディングのご支援や2桁億ブランドのリブランドディング経験などのリブランディング経験などのから、
リブランディングの正しい進め方や成功のポイントを解説していきたいと思います。

リブランディングとは?

リブランディングとは商品・サービスや企業自体などの既存のブランドを、時代の変化や顧客に合わせて構築し直すことです。
定性的には、ブランドの求心力や影響力に陰りが感じられた際、魅力やアピール力を蘇らせるための取り組みです。
また定量的にはブランドがもたらす利益や売上の伸びが鈍化したり減少したりしてきたものを、再度伸ばす活動の事です。

リブランディングに関してよくある誤解なのですが、、ロゴやキャッチフレーズを変えればリブランディングというわけではありません。
リブランディングは、ブランドの現状とあるべき理想の姿を見据えたうえで、課題を洗い出し、解決していく活動の全般を指します。

リブランディングでは、それまでのブランドの資産(認知度や信頼感など)を継承し、ミッションやビジョンといったブランド経営の根幹となる部分は変えません。
変えるのは、コンセプトを中心とした顧客へのメッセージです。

リブランディングを実施・検討するタイミング

リブランディングを実施すべきタイミング

リブランディングを実施するタイミングは、顧客サイドから見たタイミングと、事業者サイドから見たタイミングの2パターンあります。

顧客サイドから見たリブランディングを実施すべきタイミングは、
簡単に言うと『そのブランドが消費者から飽きられたタイミング』です。
定性面で言うと、SNSでのブランドへの言及量が減ってきたり、ダサいと言われるようになったタイミングや、卸をしていれば、店頭のプロモーションスペースに置かれ辛くなったタイミングです。
定量面で言うと、売上・利益などの指標が落ちている場合はもちろんですが、
広告の各面の獲得効率が全体的に低下していたり、リピート率・継続率が落ちている場合なども売上や利益が落ちる前のシグナルなので、このタイミングでリブランディングは実施すべきです。

事業者サイドから見たリブランディングを実施すべきタイミングは、
簡単に言うと『何かブランドに変革を起こしたいタイミング』です。
定性面で言うと経営者やブランドマネージャーが変わり、今までとは違うことを行っていきたい場合や、資金を大きく手にして、大胆に投資できるようになったなどが当てはまります。
定量面でいうと、原価の急激な高騰で事業構造を変更せざるを得ないタイミングや
強力な競合の参入が見えていて、事業基盤を強固にし、シェア〇%以上で市場○位を目指したいなどの場合です。

基本的には前者の顧客サイドから見たタイミングでリブランディングするのがベストですが、もちろん事業なので事業サイドの理由でリブランディングすることも致し方ないと思います。

リブランディングを検討すべきタイミング

リブランディングを実施すべきタイミングは上述の通りです。
ただリブランディングを上述のタイミングで実施するには事前に準備が必要です。
よくあるのが、上述のようなシチュエーションに直面してからリブランディングを検討する方が多いのですが、これだと上手く行きません。
なので、リブランディングを検討すべきタイミングはズバリ、
『ブランドが上り調子で、一番調子がいい時』です。
このタイミングであれば、リブランディングに対してじっくり考える余裕ができますし、何よりブランドに対してポジティブに思考することができます。

リブランディングの進め方

リブランディングの目的を決める

リブランディングを進めるのにまず大事なのは、『リブランディングの目的を決める』ことです。
よくあるリブランディングの失敗事例であるのが、リブランディングのHOW(ロゴやデザインなど)から入ってしまうパターンです。
これは全体の戦略とHOWが合わないので失敗してしまいます。
例えばブランドのユーザーの中でも若年層の構成比を上げたいというのが目的だったとして、それを決めずにロゴやデザインを感覚で決めたとします。
すると、若年向きではなく、高年齢層向けのデザインが選ばれてしまい、目的が果たせなくなってしまうのです。
デザインなどの定性のものは特に、どの目線で見るかによって、評価が別れます。

なので、先にデザインやロゴを決めるのではなく、先に目的を決め、評価軸を決めるのが大切なのです。

目的の決め方としては、ビジネス面(若年層の構成比を上げる、ロイヤルユーザーを増やす、新規ユーザーを増やす)と、
ブランドエクイエティ(○○というイメージの強化など)の2軸で決めておくのがオススメです。

リブランディングで変えない点を決める

リブランディングは新規のブランド構築と違い、これまで培ってきたブランドが前提にあります。
なので、今までのブランドと180度違う方向に行ってはダメです。
なので、今のブランドから引き継ぐもの、すなわち変えないことを決めましょう。
これはロゴやデザインの色などの目に見えるものを決めるのはもちろんですが、ブランドエクイエティ(○○というイメージ)などを決めるのも大切です。
特に後者は忘れられがちなので、ここは注意しておきましょう。

リブランディングで変える点を決める

リブランディングにおいて変えない点を決めたら次は意志を持って変える点を決めます。
このリブランディングで変える点を決める際に大切なのが、『ブランドの弱みの改善を行わないこと』です。
これはかなり多くの人がリブランディングでやってしまう失敗なので、ぜひ覚えておいてください。
リブランディングとなると、どうしても皆さん弱みの改善を行いたがるのですが、顧客はあなたのブランドの強みに対してお金を払っているのです。
なので、リブランディングで強化すべきは弱みではなく、強みです。

また、リブランディングでよく起きがちなのが、『変わったことが分からない問題』です。
ブランドに関わるメンバーはずっとそのブランドを見ているので、ちょっとした変化にも気づきますが、一般消費者は思った以上に変化に気づいてくれません。
なので、自分たちが思っている1.5倍くらいは変化を起こしても問題ないと考えて頂くのが良いと思います。

実際にリブランディングで変更する案を作成する

ここまで決まれば、ようやくリブランディングで具体的に変えるロゴやデザイン、処方などの中身の改善に動き始めます。
事前に目的や変えない点、変えるべき点は決まっているので、想定よりもかなりスムーズに物事が進むと思われます。
ただ、先ほども申し上げたように、一般消費者は自分たちの想像以上にブランドの変化に気づきません。
なので、特に初期段階は、変化させすぎだと自分たちが思えるくらいの変化幅で変化をさせておくことが重要です。

ユーザーインタビューをする

リブランディングの変更案が完成したら、実際に作成した変更案を元に顧客インタビューを行います。
まずはN1インタビューのような定性インタビューが良いです。
※N1インタビューに関しては細かくこちらで解説していますので、こちらも併せてご覧ください。

N1インタビューのコツ

ユーザーインタビューをする際に大事なのは、新規ユーザーにもインタビューをすることです。
リブランディングなので既存ユーザーを大切にしたい気持ちはわかりますが、新規ユーザーを獲得できないブランドは衰退します。
なので、インタビュー対象者の半分程度は既存のブランドを使っていない、新規ユーザーを対象に行うのをオススメしたいです。

定性インタビューで改善点などを洗い出し、ほぼ確定のアイデアまで確認できたら、次は定量テストをします。
定量のテストはコンセプトテストを例にこちらで解説しているので、こちらも併せてご覧ください。

コンセプトテストとは?コンセプトテストのやり方や重要性を解説!

世の中にどのように、どんなタイミングで発信するかを決める

ここまでくれば、後はリブランディングを実行に移すだけです。
リブランディングは実行のタイミングや、どんなメッセージや方法で世の中に発信するかが非常に大切です。
SNSやリリース、その他のキャンペーンのタイミングや各媒体からのメッセージ、全体からみた役割など、細かい設計が大切です。
ここに関しては絶対的な解はなく、各リブランディング毎に設計を考えるべき領域です。
ひとつ言えるのは、各媒体での個別最適ではなく、リブランディング全体を俯瞰して全体最適を図れるか、というのが非常に重要な要素になります。

リブランディングを成功させる3つのポイント

①手段から入らずに目的から入る

リブランディングの失敗の9割は「手段から考えてしまうこと」です。
先程もお話しましたが、先にロゴやデザインなどの枝葉部分から取り掛かると、後々後戻りできず、致命傷となります。
なので、リブランディングは必ず目的を考えるところから入りましょう。

②大胆に変える

リブランディングの失敗でよくあるのが、『変わったことが分からない』です。
これは既存のものを変える事に躊躇しすぎるが故に起こってしまう問題です。
特に今まで自分たちのブランドを使ったことがないユーザーは、かなり大胆に変えても、変わったことに気づいてくれません。
なので、自分たちが思っている数倍、大きく変える方がリブランディングは成功しやすいです。

③ブランドのミッションに沿ったリブランディング

あまり多くはないですが、やってしまうと大失敗となるのが、ブランドミッションからずれたリブランディングです。
例えば「男性が心地よくトレーニングできる世界を目指す」というミッションを掲げたスポーツブランドが、リブランディングでレディースのオシャレコーデブランドに変わろうとするとします。
これは確実に失敗しますよね。
この例はさすがにほとんどないと思うのですが、あり得る例としては、
これまで伝統や丁寧さを売りにしていたブランドが、近代的なデザインやオシャレさに振り切ったりするパターンがあると思います。
こういったのも失敗してしまう要因になるので、ここは注意が必要だと思います。

リブランディングの成功事例

オルビスのリブランディング

オルビスは1987年の創業から、カタログを中心とした通販会社として成長してきました。そして2018年からスキンケアを中心としたビューティーブランドにリブランディングしました。

オルビスは元々1000円代の化粧品を中心に売上を立てていたようですが、
もっと高価格帯の高付加価値商品を売っていきたいという目的で、リブランディングを始めたようです。
リブランディングでは「スマートエイジング®」というオルビスさんの考え方や、「肌が本来持つ力を信じて、引き出す」という考え方をベースに商品を構築したようです。

そして結果、オルビスユーという高価格帯のブランドを生み出し、大ヒットしたようです。

このオルビスのリブランディングは、事業者側の事情に端を発して始まっていそうですが、ここまで上手くヒットさせたのはさすがですね。

カインズのリブランディング

カインズは1978年に栃木に1号店をオープン、店舗数を拡大し、約30年が経過した2007年に「SPA宣言」を出してオリジナルな商品への開発に舵を切ったホームセンターです。
そんなカインズがリブランディングで「8つのくらしのコンセプト」を元にした、プロダクトブランドの設立しました。それは下記の8つのブランドです。
CAINZ、CAINZ STYLE、CAINZ FIT、CAINZ MAKE、CAINZ IZM、CAINZ PRO、CAINZ PET、CAINZ CYCLE

https://img.cainz.com/jp/product_brand/index.html

それぞれのブランドにテーマがあり、多様な価値観を一つのブランドで受け止めるのではなく、多様な価値観を多様なブランドで受け止めていますね。

下記はカインズの土屋会長の言葉です。

DIY=日曜大工ではないという思いがあって、もっと広い意味でDIYを捉えて、能動的に関与することによって、くらしがもっとよく変えられるのではないかという話もよく覚えています。
ホームセンターはペンキが剥げたから塗らなきゃいけない、蛇口が壊れたから直さなきゃいけないと、マイナスからゼロにするために必要とされている業態です。それももちろん大事ですが、ゼロからプラスにする、もっとくらしを良くしようという方向性も強化しなくてはいけないと長年言い続けてきました。

https://dime.jp/genre/1654496/2/

ここにあるように、今回のカインズのリブランディングは「DIYをマイナスから0ではなく、0からプラスにしたい」という目的意識を持って、行われているようです。
このように目的がクリアだとリブランディングもスムーズに進みますよね。

ツインバードのリブランディング

ツインバードは1951年に新潟県の燕三条(ツバメサンジョウ)地域で、金属のメッキ加工を行う会社としてスタートしています。その後、下請けからの脱却を目指し、自社製品の開発を始め、小物の白物家電を中心に製造していた会社です。
ブランディング以前のツインバードはコスパが良い家電メーカーだと認識されているブランドだったようです。

このブランドイメージから脱却するためのリブランディングとして、ツインバードは「感動シンプル」と「匠プレミアム」という2つのラインナップを追加しました。
「感動シンプル」は『シンプルってこんな豊かだ』をキャッチコピーとして、シンプルで使う人の気持ちに寄り添った家電を作っています。
その代表例が下記の『背伸びせず使える冷蔵庫』です。

https://www.commercepick.com/archives/34264  より

また、「匠プレミアム」は『あの匠の技を好きなだけ』をキャッチコピーとして、「匠の技を、おうちで好きなだけ味わうこと」を目指しているブランドです。
その代表例が下記の全自動コーヒーメーカーで、コーヒー界のレジェンドである、カフェ・バッハ店主田口先生と共同で作ったそうです。

https://www.commercepick.com/archives/34264

このツインバードでのリブランディングのポイントは、下記のように語られています。

以前までのツインバードはプロダクトアウトで高い技術を持って作りたいものを提供していました。新しいブランドラインではもっと生活者起点で、ユーザーが何を求めているのか、どんな「不」を持っているのか理解し、解決できるものづくりが最も重要といえます。

https://www.commercepick.com/archives/34264

このように技術力を売りにしていたブランドから、顧客に寄り添う姿勢を見せるブランドに変わったというのが、ツインバードのリブランディングの強さなのではないでしょうか。

まとめ

今回はリブランディングについて解説してきました。
特に重要な点に関して再度お伝えすると、下記です。

①リブランディングを検討するべきタイミングはブランドが上り調子で調子が良い時
②リブランディングの進め方は、目的⇒変えない点を決める⇒変える点を決めるの順が大事
③リブランディングの成功ポイントは、手段から入らずに目的から入る、大胆に変える、ブランドのミッションに沿ったリブランディングの3点

リブランディングは経験したことのある人が少ない領域です。
特に中小企業やベンチャー企業ではリブランディングに初挑戦な上に、
リブランディング対象のブランドが売上の多くを占めるブランドである場合が多いです。
なので、特に中小やベンチャー企業の皆様でリブランディングをご検討の方は、ぜひリブランディングに挑戦される際に弊社のようなコンサル会社に依頼されることをオススメします。
弊社は私自信がリブランディングの経験を複数持つマーケターですし、パートナーには経営も分かるブランディングのプロもいます。
なので、皆様のリブランディングを特に経営観点での成功(=売上・利益)に導くことができます。
リブランディングにお悩みの方はぜひ、概要欄の弊社HPよりお問い合わせ頂ければと思います。
リブランディングはかなり重い案件になるので、一度にたくさんの数を受けることができず、先着で決まった企業様以外はお断りになってしまう可能性もあるので、少しでもリブランディングをお考えならまずお問い合わせを頂ければ幸いです。

 

また弊社のご支援実績はコチラです。

ご支援に際して各コースの価格が気になる方はこちらをご覧ください。

また、公式ラインも始めました!
この公式ラインでは、YouTubeやホームページでは公開していない、ディープなマーケティング情報について発信しています。
そして今なら、登録特典として、
①月商別(1000万、5000万、1億、5億) の壁とその乗り越え方のPDF
②CRMプロフェッショナル石田さんとの限定動画(2本)
③認知度の上げ方:完全版
を無料配布しております。

※特典内容イメージ↓

 

ご興味ある方は、ぜひご登録ください!

本日は以上です。

最新情報をチェックしよう!